とある日、電車の中でのふと心に残った風景のお話です。
その日は祝日、ほどよく混み合う車内。
私は考え事をしながらも、ぼんやりと親子の姿が目に入っていました。
目の前の席に子どもを抱っこしたパパが座っていたのです。
男の子はパパに抱きつくように座っていて、 パパの顔を見上げて時々何か話しかけています。
パパは自分のお腹のところにすっぽりと収まっている息子のおしゃべりに時折うなずいたり、
短い言葉を返したりしていました。
なんだか見ているだけでそこはかとなく幸せそうな空気感。

パパは子どもを包み込むように支え その片手には、子どものスニーカーを指に引っかけています。
電車の動きにあわせて、パパの左右の膝の間で時々ゆらりと揺れるスニーカー。
しっかりと息子とスニーカーをとらえたその力強い腕からは、
座席や隣に座っている人の服を汚したりしないよう
子どもがグズって不快な思いをさせないよう
そんな配慮を感じさせました。
春の日差しが優しい車内に、ほのぼのとした2人を見て
ふと、この男の子は幸せだなという思いが頭をよぎり
私は彼らを写真に納めたい衝動にかられましたが、まさかそんな事はできません(笑)
心のシャッターを何度も押し、この場の雰囲気を持ち帰りたいと思ったのです。
そんな気持ちにさせてくれた親子。
子育てをしている時って、子どもに注力しなければならない分、
わかってはいてもまわりが見えなくなったり、自分本意になりがちです。
自分が子育てしていた頃、こんなに穏やかな雰囲気で電車移動できたことなんてなかったかも、、、
と、子育て時代を振り返ったりしながら
何駅か過ぎ、乗客が少なくなって気がつくとママが少し離れたところから笑みを返しています。
この家族ってパパもママも素敵だなぁと、勝手な想像が膨らみます。

愛情というものは、どこにでもあってそれを認めるかどうかであって、
そんなに特別なことではないのでしょうね。
感じとることが大事なのかなとも思います。
自分を労ることも愛だし 他人を思いやるのも愛。
大袈裟に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが
愛は目にはみえないものですが、存在を感じることができます。

愛してるよーって、言葉も嬉しいですが
電車の中で見かけた親子のように、私も無意識に愛を振る舞っていられるような人でありたいな思った午後でした。
些細なところに隠れている日常の愛を、ひとつひとつ見つけて感じてみるのもいい時間になりそうです。
そんなあなたに誰かが愛を感じて、それが伝染していったら素敵です。
karf ディレクター
島田幾子 Ikuko Shimada
インテリアショップ「karf」で店舗全体の企画を担当。
長年インテリアに携わってきた立場に加え、生活者目線の住まいと暮らし
親として学んできたことや、子育ての環境への考えを
パーソナルサイト「Good Life Tips」で発信。
その人気記事から2023年、絵本『家具ものがたり』を出版。
作画は画家であり絵本作家の松田奈那子さん。