ここ数年、都内では古着屋さんのお店が急速に増えとても元気な印象があります。
長年ヴィンテージ家具、照明や雑貨を取り扱うお仕事に携わっている私も古着は大好きです。
まだ海外へ買い付けに行っていた頃
フリーマーケットでヴィンテージジーンズの買い付けをしているであろう方たちを
お見かけすることがありました。
大量のデニムの入った大きなバッグを肩にかけ、あちこちと歩き回っていらっしゃいました。
当時は、わ〜重そう!大変だなぁ、なんて思っていましたが
こちらの買い付けは家具。
あちらの方からしたら、家具は大きくて重いし1人で移動することは難しいし
台車にキャビネットやテーブルなどを乗せ
駐車場のトラックまで何度も往復している私たちのこと
なんて大変そうなんだ!と思っていたかもしれませんね(汗)
新しいものにはない、古いものがまとう歴史や経年変化の魅力に惹かれるのは
それが服であろうが家具であろうが、同じ想いであるのだろうと
マーケットですれ違いながら、勝手に親近感を覚えた記憶があります。
そこで今回は“素材としてのヴィンテージ”を暮らしの中で楽しむことをご紹介できればと思います。
私は現在、夫婦ふたりの暮らしなのですが
東京を離れた2人の息子たちが仕事のために上京することが多々あり
毎月のように、出入りの激しい民泊みたいな状況になっております(笑)
したがって、人数分の大量なルームシューズを必要とし
しかも春夏用、秋冬用と季節ごとにアパレル並の入れ替えで
各人2種類のルームシューズを使用しているため、もうごっそりと投げ入れ状態に!

それを頼もしくホールドしてくれているのが 我が家のルームシューズバスケット。
もともとポストオフィスで、郵便物を運ぶための袋をリメイクしたもの。
1960年後半〜70年前半頃のアメリカの郵便局で使用されていたもののようです。
とても状態がいいので、おそらくデッドストックなのでしょう。
一般に販売されている商品ではないので、新しいものに切り替わったタイミングで
在庫のものが放出されたのかもしれませんね。
郵便物を入れるための袋なので、とても丈夫な生地でできています。
運んだり仕分けしたりするのに、放り投げられたり
床を滑らせたりして使われていたのかもしれないと想像します。
用途は限定せずにリメイクしてもらったのですが
素材としてはわりと固めなので、それをいかしてバスケット型に。
観葉植物の鉢カバーにもできるようにと、底面にはビニール素材が貼られています。
どう使おうかいろいろ考えて、キャビネットの中に入れたり
シェルフの上に置いてみたりもしましたが、しっくりきません。
ポストオフィス用の袋の特性、役割からか
なんだか、やたら床との相性がいい気がしてます。
もともと用途として床に置かれることも多かったであろう袋だし
落ち着くのはそのせいかもしれませんね(笑)
限りある資源やものを大切にし、再利用できるものはしていこう!
そう言われて久しいですが
自然の恵みを使い続けている私たちの使命としても、常に意識していることです。
家具作りでは、ソファなどに使用する革は傷のない比較的綺麗なところを使用。
傷のあるところやダメージのある箇所は商品になりにくく
残念なことに無駄が出ることが多いのですが
端材は大切に保管し、クッションやコースターなどの素材として利用しています。

傷や穴もデザインとしてはとても楽しいものになるのに、、、ね。
そして革の再利用という観点からも、茨城県つくば市にある私たちのお店
ヴィンテージ家具&カフェ「Blackboardつくば」では
カフェのベンチ席の背もたれに古い革ジャケットをリメイクしたものを張り込んで使用しています。

革のライダースジャケットの主にポケットの部分をパッチワーク。
ライダーのための服なので、もちろん頑丈で実用的。
タフな使用にも対応できるよう、しかも動きを制限しないよう
柔らかさもありながら作りも実にしっかりとしています。
もともとがヴィンテージの革でしたが、それからさらに11年が経ちまして
かなり経年変化の“くずれ”がでています。

近々、クリームなどでお手入れしないとね、と考えています。
しかし、このホンモノならではのタフさが実にいいです!
素材として、あじのあるところを生かす!
料理と同じですね。
ポケットというキャラクターをポイントにしているのも気に入っています。
ものが溢れている昨今、捨てるにはもったいない良いものがたくさんあります。
実用を考えて技術を注ぎ込んだもの
丹精をこめて作られたホンモノとして
魂のこもったものをもう一度蘇らせる。
とは、大袈裟かもしれません。
が、私たちが大切にしていかなければならないことと感じずにはいられないのです。
しかも新しく役割をもって生まれ変わってきたモノたちは
なんとも愛おしく、おかえり〜と歓迎したくなり
新しく楽しいお付き合いの始まりです。
もしつくば近くにお越しの機会がありましたら、ぜひお立ち寄りいただき、見てみてくださいね。
karf ディレクター
島田幾子 Ikuko Shimada
東京・代官山のインテリアショップ「karf」で店舗全体の企画を担当。
長年インテリアに携わってきた立場に加え、生活者目線の住まいと暮らし
親として学んできたことや、子育ての環境への考えを
パーソナルサイト「Good Life Tips」で発信。
その人気記事から2023年、絵本『家具ものがたり』を出版。
作画は画家であり絵本作家の松田奈那子さん。