これまで、家のことをあれこれお話してきましたね。
これからは家具やインテリアなどについてお話していきたいと思っています。
さてさて皆さんは、どんな家具を使って生活していらっしゃるでしょうか。
わが家ではソファやダイニングテーブルはもう20年以上生活をともにしています。

私たちのインテリアショップ・カーフのオリジナル家具を愛用しているのですが
もう家族にはなくてはならない、家族同然の家具たちになっています。

その家具たちのお話を『家具ものがたり』という絵本にしたほどです!

家に中の家具たちが自由気ままにおしゃべりするというストーリーになっています。
ご興味のおありの方は、ぜひ手に取っていただけると嬉しいです。

特にテーブルやチェアやソファなどは、人の身体に触れることの多い家具なので
人に対する影響も大きいのではないでしょうか。

家族のこんなエピソードがあります。
ある日、息子がカーフのお店に立ち寄った時のこと。
いろいろと展示してある中で何気なく座ったソファ

「あーこれこれ!」と。
無意識に座ったソファの座り心地に
視覚より「体感」として素早く反応してました。
それは自宅で使っているものとたまたま同じソファだったのです。

座り心地を彼の身体が知っているのには驚きでした。
また別のエピソードで、息子が高校生の頃
デンマークを訪れた時のこと。
現地でお世話になったお友達の家にある椅子が
「うちの椅子に似てるねっ」
とわざわざ写真を送ってきたこともありました。
家具の話などほとんどしたことがないのに
「へーわかるんだなぁ」と
妙に感心したことを覚えています。

家や家具などの環境を、子どもたちはほぼ無意識ですが
身体で肌で感じているのだと思います。
そしてわかったことが!
「環境の源」というものは幼い頃に無意識で刷り込まれるものだと。

毎日食べているもので身体が作られるように
私たちの環境が私たちを作っています。
子どもに土に触れさせたり
木素材のおもちゃが良いとされているのと同じように
食育が大切だと考えられているのと同じように
住空間も家具も「育」と捉えられるようになるといいなと思います。
暮らしの中で家具の役割はとても大きいのです。
デザインが綺麗とか、色が美しいとか、目にも心地良いことも大切ですよね。
そのテーブルの素材が自然の素材に近ければ
それは私たちの心にも無意識に伝わります。

自然素材の服が気持ちいいと感じるのと同じです。
カーフでは木素材のテーブルは、手触りの良さを残したいので
木の風合いを生かした仕上げにしています。
色も変わって行きますし、季節や空調によっても乾燥したり膨張したりします。
私たちと同じように呼吸しているのですね。

家具や暮らしを通じても
自然の豊かさやありがたみを感じ
家にいながらにして、テーブルから遠い森林を想い
木の育った陽の温もりを感じる。

こんな想いを膨らませていけるのは私たち「人」ならではです。
それに気づける「愛を持った人が近くにいる環境」も、とても大切なのでしょうね。
私たち自身も、暮らしのなかの環境の一部であるということを
しっかりと心にとめていたいです。


karf ディレクター

島田幾子 Ikuko Shimada
東京・目黒から代官山に移転したばかりのインテリアショップ「karf」で店舗全体の企画を担当。
長年インテリアに携わってきた立場に加え、生活者目線の住まいと暮らし、親として学んできたことや
子育ての環境への考えを、パーソナルサイト「Good Life Tips」で発信。
その人気記事から2023年、絵本『家具ものがたり』を絵本作家の松田奈那子さんとの共著で出版。